恐山の静寂を体験しよう

あちらの世界に近い場所。名前からしておどろおどろしいその場所はずっと行ってみたかった場所の一つだった。冬は雪深く道路が閉鎖されるため、行く時期が限られる。とてもアクセスが悪い所も期待値を上げる。2016/August/10

恐山霊場

■開山:5月1日~11月上旬 ■冬季休業:10月31日〜4月

青森観光情報サイトHP

アクセスの悪さも魅力のひとつ

公式HPのアクセスには「JR下北駅より車で約40分」とスパルタな一言のみ書かれているが、下北駅からはバスもあるようだ。祭りの時期はバスも増便するらしい。よかった。

東北は県が一つ一つ大きいので、東北在住でも行ったことのない場所は多い。しかし今回は人数が集まり仙台から車で移動。ドライバーは私を含めて2人。念願だった青森の果てまで行くことが出来た。途中三沢の寺山修司記念館に思いがけず立ち寄ることが出来たが、それ以外は寄り道せず、ほぼ一日、延々と長い道のりをドライブした。なかなか行けない場所だからこそ有り難みも増す感じがするのは気のせいかな。

三途の川は序の口

だんだん近づくにつれ建物が減っていく。もちろんコンビニなんてない。目的地には寺以外何もなく、殺風景になっていく。恐山霊場の手前に三途の川とそれを跨ぐ太鼓橋がある。閻魔様に会う前にいるという妖怪の像もあるが、観光向けというか、お遊びはここまでという感じか。

静寂の境内は異空間

境内に入りお堂をお参りして、更に先に進んでいくと敷地は広く、硫黄の匂いの立ち込める地獄谷を通り賽の河原へと続く。一番奥は山に囲まれた湖があり、水は強酸性のため生物はおらず澄み切っている。この日はとても晴れていて、真っ青な空にピンクの風車が映える。とにかく静かで、子供が無邪気にはしゃぐ声と、風車が風でキュルキュルと回る音だけが響き渡る。あの世との境にいる気分になると聞いていたが、確かに異様な空間というか、なんだか作り物の世界にいるような感覚だった。一応観光地ではあるので観光バスも何台か停まっていて、観光客もいることはいるのだが、とにかく静かな空間なのだ。

イタコさんに会える場所

ここはイタコさんがいることで有名だ。

イタコさんとは、死者の霊を呼び起こし、故人と今、現実に逢ってでもいるのかのように対話できる不思議な世界を体験させてくれる人のこと。最近はもう人数も減ってしまい、お祭りの時しかいないらく、私は会うことが出来なかった。

しかし敷地内にあるお堂には亡くなった方が生前着ていた服を安置する場所があり、どれも古めかしいものではなく、つい最近まで着ていた感じが伝わってきて、目に見えない念というか、亡くなった人とまだ繋がっていたい気持ちが迫ってくるというか、へらへらした気持ちでこのお堂にはいられない気がしてすぐに出てきた。写真も撮っていない。

私はこういうぞくぞくする感じが好きだ。こういう場所にはなかなか出会えない。今度は祭りの時期に来てみたい。

■恐山大祭 7月20日~24日 ■恐山秋詣り 2017年10月7日~9日(体育の日を最終日とする土・日・月曜日)

草が結ばれているのをたくさん見かけた。なんだか分からないけどすごく怖い。

夕暮れが近ずくにつれ、観光客もいなくなり、静寂に包まれる。

服装

険しい山に修行に行くような登山をするのかと思っていたが、全くそんなことはなく、普段着で問題ない。砂地を歩くのでスニーカーなどの歩きやすい靴だといいくらい。

宿坊に宿泊しよう

誰でも宿坊に泊まれるということで一泊した。以前はかなり雰囲気のある(少し怖いくらいの?)宿坊だったらしいが、最近建て直され、綺麗な旅館といった感じ。ちょっと安心というか、残念というか。館内には立派なお風呂もあったが、境内にある掘建て小屋にも雰囲気のある温泉があるのでそちらもぜひ。簡素な作りがハラハラして面白い。

夕食は精進料理。思ったより豪華。と思ったが、肉が一切入っていないためか、後からすごくお腹が空いてしまったので、ご飯をおかわりすることをお勧めする。

部屋にテレビはないが、ソファのあるホールでNHKドキュメンタリー72時間を流してくれる。これを見ればここがどういう場所なのかが分かる。亡くなった人にどうしても会いたい、どう思っていたのか知りたい。そういう人が集まってくる。イタコさんは偉大だ。

スイーツ

ここで食べた霊場アイスはヨモギ味らしいが、なんだかお線香を食べているみたいだった。

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